バイスタンダー(居合わせた人・発見者・同伴者)による心肺蘇生とAEDによる救命処置の重要性

更新日:2022年03月15日

 119番通報があってから、救急車が現場に到着するまでの平均的な時間は、およそ8.3分(平成25年度集計資料による)。一方、「カーラーの救命曲線」によると、心臓が止まってしまった人が3分間放置された場合、その後の手当で助かる率は、およそ50%まで下がるとされています。

 大切な命を救うためにも、こうした状況に置かれたとき、あわてずに、すばやく適切な手当ができるよう、救命手当の基礎知識と手順を知っておく必要があります。

心呼吸停止や多量出血の経過時間と死亡率の関係を表したグラフ

 例えば、心臓が停止した人が3分間放置された場合、その後の手当で助かる率は50%。
 同様に、呼吸が停止した人の場合も、10分間放置されることで50%が助からなくなるといわれています。

心肺蘇生法の手順(ガイドライン2015年版)

1.意識を調べる

 倒れている人の耳もとで声をかけ、軽く肩をたたいてください。目をあけたり、何らかの反応があったりしたら「意識あり」。何も反応が返らないようなら「意識なし」と判断し、すぐ「誰か来てください!人が倒れています!」などと、大声で叫んで注意を喚起します。
 協力者がいれば、119番通報とAEDの手配をします。協力者がいない場合は、まず自分で119番通報をおこない救急車を手配します。
 小児・乳児の場合も同じです。

2.呼吸を調べる

 意識がなかった場合、まずは相手の呼吸を確かめます。

 呼吸音や呼気、胸と腹部の動きなどが確認できなかったり、あるいは普段どおりの呼吸をしていない場合には「呼吸なし」と判断し、すぐに胸骨圧迫を行います。正常な呼吸が十分ある場合には、楽な姿勢を取らせて、様子を見ましょう。

参考

 突然の心停止直後には、「死戦期呼吸(しせんきこきゅう)」と呼ばれるしゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸がみられることがあります。胸と腹部の動きが普段どおりでない場合は、心停止と判断し、ただちに、胸骨圧迫を行います。

3.胸骨圧迫(心臓マッサージ)~心肺蘇生(そせい)法の実施

 胸骨圧迫は、成人、小児、乳児に関わらずすべて胸の真ん中を圧迫し、外部から血液の循環を促す手当です。

  • 強く! (成人は約5センチメートル、小児は胸の厚さの約3分の1沈み込むまで)
  • 速く! (1分間に100~120回)
  • 絶え間なく! (中断を最小にする)

〔人工呼吸ができる場合は後述のとおり胸骨圧迫に人工呼吸を加える。〕

傷病者が子どもの場合

  • 小児の場合(1歳~7歳)は、両手でも片手でもかまいません。
  • 乳児の場合(1歳未満)は、2本指(中指・薬指)で押します。
  • 圧迫の強さは、胸の厚さの約3分の1程度です。

備考

 胸骨圧迫は、通常、後述の人工呼吸と合わせて行います。これを「心肺蘇生法」といいます。この胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせ(30対2)を救急隊やAEDが到着するまで繰り返します。

近くに手伝ってくれる人がいる場合

疲れてくると気づかないうちに圧迫が弱くなったり、テンポが遅くなったりするので、1~2分を目安に役割を交代します。

4.人工呼吸を行う(省略可)

 胸骨圧迫を30回続けたら、気道確保をして、人工呼吸を2回行います。
(注意)相手や自分の口の周りに傷や出血があるなど人工呼吸ができないか、ためらわれる場合は胸骨圧迫のみを行う。

(1)気道確保

 片手で傷病者の額をおさえながら、もう一方の手の指先を傷病者のあごの先端、骨のある固い部分にあてて持ち上げます。
 このような動作によって傷病者ののどの奥を広げ、空気の通り道を確保する方法を「頭部後屈あご先挙上法」と呼びます。

頭部後屈あご先挙上法と印字された黒文字の上に描かれた右手で傷病者の男性の顎先に人差し指と中指を当て左手で額を抑えて気道確保をおこなっているバイスタンダーのイラスト
右手で傷病者の男性の顎先に人差し指と中指を当て左手で額を抑えて気道確保をおこなっているバイスタンダーの手元のみを描いたモノクロイラスト

(2)人工呼吸

 気道確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。
 傷病者の口を自分の口で覆い、1秒かけて吹き込み胸が軽く膨らむのを確認します。
 これを2回行います。(成功失敗にかかわらず2回)
 終わったらすぐに、胸骨圧迫にうつります。

5.AEDが到着したら電源を入れ、電極パッドを装着する

 心肺蘇生法を行っている途中で、AEDが届いたらすぐにAEDの準備を始めます。

 AEDは、電源を入れると音声メッセージとランプで、実施すべきことを指示してくれますので、落ち着いて操作しましょう。

(1) 電源を入れる

 AEDのふたを開け電源ボタンを押します。
(ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります。)

(2) 電極パッドを貼る

 パッドを袋から取り出し、傷病者の胸部にパッドに描かれた絵のとおりに電極パッドを貼ります。

(3) 心電図の解析

 パッドを貼ると、自動的に心電図の解析が始まります。

(4) 電気ショックと心肺蘇生の再開

  • ア 「電気ショックが必要です。」とメッセージが流れたら誰も傷病者に触れていないことを確認してショックボタンを押します。
  • イ 「電気ショックは不要です。」とメッセージが流れたら直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開します。

(5) 心肺蘇生とAEDの手順の繰り返し

 電気ショックが終わったら、すぐに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開します。
(注意)AEDは2分おきに自動的に心電図を解析しますので、そのつどメッセージに従います。

電極パッド使用上の注意事項

電極パッド(成人用パッドと小児用パッド)

 AEDには、成人用と小児用の2種類のパッドが入ってる場合があります。
小学生以上の傷病者には、成人用の電極パッドを使用し、小児用は使用しないでください。
小学校に入るまでの小児(未就学児)には、小児用の電極パッドが入っていればこちらを使用します。

傷病者の胸が濡れている場合

 タオル等で拭き取ってからパッドを貼ります。

心臓ペースメーカーや除細動器が植込まれている場合

 電極パッドを貼る位置にペースメーカー等の突起がある場合は、ペースメーカーを避けて電極パッドを貼りつけてください。

AED使用による救命率

心停止から除細動までの時間と生存率を表したグラフ

 心肺停止状態になってから除細動を開始するまでの時間が1分遅れるごとに、生存率は7~10%低下します。
 救急車が到着するまでに全国平均で8.3分かかるので、バイスタンダー(居合わせた人)がAEDを含めた救命措置を行うことによって、生存率は確実にアップします!

救急車が到着するまでに、バイスタンダーによる救命処置が実施された時と実施されなかった時の救命率の違い

救急車到着までに救命処置が実施された時と実施されなかった時の救命率の違いを表したグラフ

以上の事からも、バイスタンダー(居合わせた人)による処置の有効性や重要さが分かっていただけたかと思います。
一番イケないのは目の前の傷病者に対して何もしないこと!勇気を持って歩み寄り自身の出来る事を精一杯実践してみましょう!
万が一、救命処置を実施した傷病者の方が助からなかった場合においても、バイスタンダー(居合わせた人)が実施した救命処置に対し処罰の対象とされることはありません。

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